ゆう

きのうは、ここぞとばかりに、あそんだ。

朝劇を終えて、
関森絵美ちゃんとごはんをたべて。

すこしひさびさに、ゆっくり話す時間を得たわたしたちは

なにからはなそうか、すこしわからず

ぽつらぽつらと、このごろをはなしながら

おいしいごはんをたべた。

ごはんをたべたらあたたまってきて

ことばもするりするりとでてきた。

すべりがよくなったわたしたちのあいだに

たくさんたくさんのあれこれがとびだして

たくさんたくさんを交わした。

そうしたらきっと、まだ足りなくなって

あてもなく下北沢をあるいた。

目的のない時間は

とてもせかいをひろげてくれて

気づかなかったあたらしいおみせや、ずっと気になっていた場所をじいっくり、みた。

こんなに知っているはずの下北沢は、
こんなに知らなくて新しくて、

まだまだまだまだ歩きたくなった。

「クレープが食べたいね!」

おもいたったわたしたちは

14年前から知っているのに、こわくて一度も足を踏み入れなかった、
あやしげなクレープ屋へ行った。

あやしげにおもっていたそのクレープ屋さんの店主は
とてもやさしくて、いいひとで

その人の手から渡されたクレープは、
とてもすなおに、おいしかった。

高校生みたいに
ふたりではんぶんこしてたべた。

はじけるみたいに、たくさんわらった。

その時間たちは

いちまいいちまい、なにかをはがしていくみたいにして

ひとつひとつ、なにかを背中からおろすみたいにして

すべてがかるくなって

過去も未来も今さえも

全部ないみたいな不思議な世界に連れて行ってくれた。

天を飛ぶみたいに、自由だった。

どんどんどんどん、自由だった。

遊ぶ、って、このことか、って

全身で思い出した。

おなかのそこの、そこのそこからわらって

からだが鳴った。

この上ないしあわせだとおもった。

下北沢の上空に続く線路は、

まだまだまだまだ、どこまでもつづいて

その日いっぱい、かけていった。

ストン、と帰ってきたきょうは

おふとんをせんたくして、

12月へ向かう準備は万端になった。