きょうのひ


1日こもりきりだった劇場から出て、
帰路につく。

外の空気を浴びて

劇場の中に立ち上がった世界が
いかに異空間であるか、実感しました。

水のかおり
しんとした空気
得体の知れないものの気配

あきらかにそこに、たちおこっています。

鵺的『奇想の前提』

目が覚めてきょう、初日を迎えます。

ことばを尽くし、この作品の魅力をお伝えし
できるだけたくさんのかたにみていただきたい

と思うのと同時に

そのすべてのことばが邪魔くさく感じるほどには、やはりみてほしくおもっています。

なによりもわたしは

この一年間、この日をたのしみに生きてきたのだということを
ここへきてあらためて思い出しました。

この日を見据えてこれたから、
ここまで過ごしてこられました。

そんな一年分の眼差しが詰まった日が訪れるということ。

それがなによりの、すべてだとおもいます。

信じ合うひとたちと

一年の時を経て

それぞれの今の限界を、百人力で超えた場所で

挑めるところまで挑み尽します。

わたしの限界をはるかこえて

この全員で、ここにきてくださるかたと

この日にしかみられない景色をみます。

これから10日間、

どうぞよろしくお願いいたします。



鵺的『奇想の前提』
作 高木登
演出 寺十吾
7月21日(金)-30日(日)
中野テアトルBONBON