ひみつのぽえっと

先日千秋楽を迎えた
朝劇下北沢平日「下北LOVER」

わたしは歌手を目指して下北沢へと上京してきた女を演じていました。

彼女は自分なりに音楽を作ってみようと悪戦苦闘するわけですが
なかなかうまくいかないのです。

9時に物語が始まる30分前
お客様がお店にみえる8時半から

わたしの演じる女は店内のテーブルに向かって
ひたすらに歌詞を書いています。

劇中でも、ドツボにはまり
わけのわからない歌詞を発表するというシーンがあるのですが

毎回、本気で歌詞を考えていたら
千秋楽でちょうどノートがいっぱいになりました。



きょうは、その歌詞を、せっかくなので
書き並べたいと思います。

日付は無記入ですが
公演が始まった昨年の10月にかいたものから順番に。
落書きを添えて。




「アモーレミモレット メッチャモッツァレラ
カモンカマンベール チェダーチョーダイ
ベリーブルーチーズ たいせつなのは結果より
そうよプロセスチーズ」

「キャロットペロッと キュロットペロッと
ひるがえしても大丈夫 キュロットだったら大丈夫
タロットペロッとめくってペロッと
運命わかるわ あなたの未来」

「それとって
そうそうそうっす ソイソース
おいっすおいっす オイスターソース
いかりやちょうさん イカリソース
うっすうっす ウスターソース
ソースーソースー 深呼吸」

「上を向いて歩いたよ 鳩のフンが落ちたよ
下を向いて歩いたよ 電柱にぶつかったよ」

「すりきれた初夢 使い古しの大吉
去年のしあわせ 詰め合わせた福袋
もうすこしへんなにおいがしてる」



「野鳥の会のひとたちも 数えてくれないわたしのなみだ
すずめのなみだ ちょうだいな
からすのぎょうすい こうずいだ」

「雑煮はなんで 雑煮と書くの
新年早々粗雑なもんね
おこるぞ おこるぞ おこっちゃうぞ」

「ねぼけまなこに なまこぬめぬめ
なめてのたまう なまけもの」

「こゆびほどの愛 おやゆびほどの雑念
ひとさしゆびほどの軽蔑 なかゆびほどの預金
くすりゆびほどの執着 あしのこゆびをぶつけるほどの痛み
ああひとり だれにもとどかずに」

「ありのすほじくり あいうえお うかれたありくい おどってる
かきめし やきがき かきくけこ ここまでかきくう やついるか
さしめし すしめし さしすせそ そしらぬそぶりで さしせまる
たちかわ たてやま たちつてと とちかん てんで ありません
ななねん のろのろ なにぬねの ねんきがはいって ぬまのそこ」

「咲いた咲いた 長ねぎの花が
冷蔵庫の底で ひとしれず
白髪ねぎ 白髪もひとしれず
はえるよね まえがみあたりに」

「ほたるいかのようにおいしいのなら
わたしはいつまでもちいさくありたい
しんじゃがいもがもてはやされるのなら
わたしはいつまでもちいさくありたい
ぱくぱくちぎょ ぱくぱくちぎょ
おとなになんて なってたまるか」



「くりぼっち おいてけ くりきんとん
くりすますより こうはくなます
七面鳥より 七福神
サンタさんより もんたさん ダンシングオールナイト」

「もういくつも寝たので 寝正月
寝正月には初夢も 希望も何もないんだよ
早くこいこい大晦日」

「一人雪合戦はいそがしい
雪だるま作ってひとりでわお
リアクションも追いつかない
寒いねと言える人のいるあたたかさよ」

「くるぶしからあふれるこのメロディー
君に届けたいそう願うよ
ありがとう
くるぶしのこぶしがまわりだす」

「ロバの老婆 工場で働いてる
老婆心から 給与の相場は月給1800円
メンバーも皆ロバ 馬車馬のように働いてる」

「しじみのような瞳で 見つめる君からいいダシ出てる
涙という名のダシ
二日酔いに効く君に また酔いしれる朝」



「めんくいのありくい えりごのんでありをくう」

「スルメタイプだねと言って 二度とあってくれない君は
どうせスルメのおいしさをしらないのよ
おどりぐいがすきなのよ おどらされたい人生なのよ
友達以下 恋人以下 いかいかいっか まあいっか」

「スイカを泣かせる罪な男
甘さ引き立てる罪な男
しょっぱい涙は俺のもの
よこしま たてしま 恋模様
あの島 この島 夏が来る」

「蚊取り線香落ちきる前に
落とすわあなたを恋の中
うずまきめぐるわ ぐるぐるる
もう二度と目を覚まさない
血イ吸うたろかなんて言わせない
蚊取りマイラブ オンリーマイラブ」


そしてこれが千秋楽スペシャル。
メンバー紹介。

「いかすスイカガール
ミンミン鳴いてるムーミン大使
もしもしあしこしさしでがましい
みようみまねのものまねねえさん
160センチメートルのセンチメンタル
はらはらまさかの急展開
コナコナ来ないか秋の空
なつのおわりの なつみそか
あーそっか まーそっか もーいっか
もっかいやるか もうないか」

以上。
おたのしみいただけましたか。

歌手を目指す心の模様は
日々の自分と重なりどんぶらこどんぶらこと
ゆらめくばかりでした。

たくさんの種類の涙を知りました。

たくさんの初心をおもいださせてもらいました。

たくさんのありがとうを、日々に持ち帰らせてもらいました。

センチメンタル、ありがとう。