リアス式海岸

うれしさになみだがにじむかお

祖父や祖母が、ひさびさにあったときに
わらった目のしわのあいだににじませてくれるなみだ

あのかおがわすれられない。

あのかおを、だれかのかおにみつけると
なんともいえないきもちになる。

うれしいってとても、複雑なきもちなのだ。

いろんな瞬間をこえてあえた、たどりつけた、やっと手に入れた瞬間なのだ。

とてもとてもたいせつな、そのひとの日々のごほうびなのだ。

ひとのうれしいをじゃましちゃかなしい。

ひとのうれしいがわきだすのを、せきとめちゃかなしい。

うれしいをいだけるうれしさを
どうにかずっとまもりたい。

かんたんなことじゃなくて

みんなみんなのをまもれるわけじゃないけど

せめてじぶんのうれしいだけは
ちゃんとまもりたい。

さいきんは、うれしい、についてばかり
しつこいくらいかんがえている。

柴田聡子さんの『責めるな!』がぐるぐるまわる。