ほがら

すこし遠い地へ来ています。

すこし遠くに見える桜を眺めたら

時が止まっているように見えました。

それは、
桜がとめどなくうごいているから

今にもどこかへゆこうとしているから

止まって見えているような

そんな感覚でした。

時が凝縮しているような。

それは走馬灯にも似ているかもしれません。

だまっていてくれる木々や花があるから

わたしははなしをしたり

こころに静寂をやどすことができるのだと

おもいだしています。



ここでは桜も、うふふと言っていて

すこしはなれたところにみえる仲間と

ささやきあったり
うたいあっているようで

わたしまでげんきになります。

野花はとてもつよくほがらかで

あちらこちらにゆたかないろがあります。



道端の草のように
ことばや、瞬間を、
咲かせていようと思いました。

花屋に並ぶ花でなくてよくて

勝手にそうしている
そうできている生命に

風になびくようにうなずきました。



3月が終わりますね。

なんだかながいこと守ってきた場所から

ときはなたれるようなここちです。